揺れるクリスマス島 リゾート開発か環境保護か
「揺れるクリスマス島 リゾート開発か環境保護か」
※こちらはブログエントリーではなく、紙面に掲載された記事の再掲載です。詳細は、次のエントリーをごらんください。

ベイジング・ラグーンを見つめるジムさん
クリスマス島の中心部、ロンドン村から車で15分の海岸沿いにある「クリスタルビーチ・フィッシィングロッジ」を訪ねた。オーナーのジム・タエキスさん(60)は、国会議員やクリスマス島担当の大臣などを経て、50歳で政界を引退。クリスマス島に居を構え、2002年にロッジをオープンした。「キリバスにとってクリスマス島は観光業の目玉。もっとロッジが必要だと考えたのです」とジムさんは話す。
クリスマス島には、宿が数施設しかない。「一番、清潔感がある」と評されるこのロッジも、壁にはヤモリがはい、夜にはネズミが現れる。お湯のシャワー、エアコンはなく、電気が使えるのは夜間のみ。それでもこの島には、欧米を中心に多くの外国人が訪れる。
その大半は釣り人だ。30分も沖に出れば、数十キロ級のマグロやシマアジなどが釣れる。また、ラグーンには透き通った体の「ボーンフィッシュ(ソトイワシ)」も生息。引きの強さから釣り人のあこがれの魚だ。
「ハワイなどでも釣れるが、魚の量が比べものにならないほど多い。みてごらん」。ジムさんに言われるままラグーンをのぞくと、数匹のボーンフィッシュが泳いでいるのが見えた。
また、ロンドン村の港から船で10分の離島「クック島」では、貴重な海鳥の巣作りや子育て、ヒナの飛び立つ瞬間などを肉眼で観察できる。こちらも、世界中からバードウォッチャーがやってくるという。
「ここの魅力は手付かずの大自然。近代的な設備を整えれば自然は破壊され、客足は遠のきます。ロッジにも必要以上の設備はいらないのです」
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しかし、クリスマス島の開発をめぐり、キリバス内で意見が対立しているのも事実だ。近年、この島でもっとも美しいラグーンといわれる「ベイジング・ラグーン」という海域に、海上コテージを建設する計画が政府主導で進んでいた。高級リゾートをイメージしたコテージを建設し、海外の観光客をさらに呼び込むのが狙いだった。
ジムさんら地元住民の反対で同地への建設計画は中止になったが、海上コテージ建設の構想はなくなっていないという。
「リゾート開発は、多くの自然を破壊しなければ成り立ちません。それを勘違いしてここに合わない開発を進めれば、この国の観光業は破綻してしまう。そのためには、この島を知るわれわれが守っていかなければいけないと思っています」。ジムさんは、そう語った。(今泉有美子、写真も)=随時掲載
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